無言の友情

以前から私は、子供に好かれる人間であった。
最近は、子ども会で役員をしているので、懐いてくれる子どもの数がどんどん増えている・・・気がする。

子ども会の夏祭りで、ゲームコーナーを担当した母ちゃん。
前半は、輪投げを担当し、後半はスーパーボールすくい。
わずか、３時間半のゲームコーナー担当で、延べ人数にして、３００人以上子どもの接客をしたと思われる。
（スーパーボールが１回２０円で６０００円以上の売り上げだったから。）
同じ子が何度も何度も同じゲームをするので、実質１００人くらいだったんじゃないかなーと、思うんだけど。

下校途中の子供たちとかに会ったら、囲まれるようになった・・・・
近所で自分が人気者になったような錯覚を覚える母ちゃんであった。
そして、子供たちは、口々に学校であったことを、猛烈に話してくれる。
「トラオちゃん、自転車乗るとき、坂道がーっと行って危ないよ」
と、母の知らぬトラオ情報もくれる。
なかなか楽しい。

ふらふら道を歩いていたら、前方から３歳くらいのオカッパの女の子が走ってくる。目をまっすぐみて、手を広げて「だっこして」と全身が言っている
「そーか、そーか、抱っこしてほしいのか。」
どこの子かもわかんないけど、よしよしと抱っこ。
猛然とおしゃべりしだした女の子。
あら？このこ、見覚えはあるけど・・・？？
夏祭りの縁日「スーパーボールすくい」にチャレンジする、ひときわ眼光するどい、勝負に真剣な女の子がいたと思ったら、このこだわー！！
ボールすくいの時は、じーっと、お金を握りしめ、汗でぬれたお金を無言でグイと渡してくれたっけ。
ボールをすくうポイを握りしめ、やるぞという気迫に満ちていた。
気迫はあるけど、いかんせん小さいから、たくさんボールは取れない。
「・・・・今度こそ、たくさんとる！！」
「頑張るんだよ・・・そーっと、落ち着いてねっつ・・！！！」
二人で目で語り合っていた。このやり取りが、たぶん５、６回？

ニコリともしない彼女は、非常に印象的だった。
しかし、私の腕のなかで、ニコニコして、一生懸命に話す彼女を見ていたら、あまりの雰囲気の違いに驚きつつ、彼女の勝負にかける気合を再度感じた。

後から、お母さんが小走りで
「あらあら、ごめんなさい！失礼しました。どこかでお会いしましたっけ？」
お母さんは、女の子と私がスーパーボールすくいで無言の友情を築いたのを全くしらないので、びっくりしていたけど。
話さなくても、ほんの数回でも、たとえ時間が短くとも、心が通う時があるのね。そして、再会したら、抱き着くほど好かれる・・・そんな事もあるんだなぁ？
嬉しいビックリ体験でした。

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